ラブホでバイトしてた話
大学2年の冬から卒業時まで都内のラブホテルでアルバイトをしていた。
大学生活4年間で家庭教師、吉野家、ドンキ、治験紹介、ドカタなど人並み以上に掛け持ちしていたと思うが、中でもダントツで好きな仕事だった。
洋服にお金をかけていたこともあり、とにかくお金が欲しくて稼げるバイトを探していたところラブホテルに行き着いた。(なんで?)
そもそも何の変哲もない高学歴(笑)大学生の僕が普通に働けるものなのか?と不安ながらも電話してみると、男か女か分からないような声の人間が出て一度面接しましょうとの運びになった。
当日めちゃくちゃ緊張しながら入場して受付へ挨拶すると、電話で対応してくれたと思しき外見も男か女かわらかない人(実際そっちの方でした)が出てきてバックヤードに通された。
暫くして、社長と名乗るおじさんが登場して面接開始。
予想に反し、マジメそうとの理由で「明日から働ける?」とドラマみたいなトントン拍子で採用が決まった。
勤務初日、スタッフルームに入り、人の好さそうなおばさん、ふくよかな若い女性、今にも死にそうなおじいちゃんと研修担当のおじさんリーダーへそれぞれ挨拶。
のちに死にそうなおじいちゃん以外の全員が飛ぶことをこの時の僕はまだ知らない。
元からネジが外れているのか、初日から特に抵抗なく他人の陰毛だとかセックスの温もりが残ったリネンだとかをテキパキと片付けることができた。
「無理そうだったら正直に言ってね。我慢してやる仕事じゃないし」と研修おじさんは優しく言ってくれたが「モーマンタイ!」と笑顔で答えてたと思う。
傍から見たら毎度異常な仕事内容だったと思うが、慣れてくるとハイハイいつものね的な感じなので細かい出来事までは覚えてない。
ということで、印象に残っている思い出ベストセレクションをご紹介しようと思う。
①バナナの皮
結論、使用済みコンドームで滑って盛大に転びました。
ラブホの清掃はとにかく忙しい。学生都合で平日夜と休日のピークタイムシフトだったこともあり勤務中は大体動き続けた。
客室清掃は客のチェックアウト後すぐさま清掃員が部屋に入り、火の元確認や窓を開けて換気する作業があるのだが、TVにホテルメニューがあるラブホは清掃部屋から他の部屋の在空状況がわかるようになっている。
チェックアウトを確認して部屋に勢いよく入ってすぐ、足にヌメリを感じたと同時に思いきり滑って転んで頭を打ちつけた。
転んで仰向けになった僕は全てを理解し、受け入れ、そして泣いた。
使ったゴムはゴミ箱に捨てよう。ラブホ兄さんとの約束だぞ。
②うんこ
ベッドで脱糞せんといて。
何か特殊な薬を飲んだ後のブツとかでない限り、部屋に入った瞬間に分かる。
とにかくニオイがキツい。陰毛だろうが精液だろうが経血だろうが大体1人で手早く処理できていた俺も、慣れるまではバスターコールよろしく「うんこ発見!集合~!」と叫んでは他の清掃員を招集させてワイワイ対処していた。
初めて遭遇した時、業界歴だけ長いくせして仕事が遅いおじさんから「戦争のときは食べる物なくてウンコでも食べてたらしいぞ。そう思えば汚くねぇよな?」と謎のアドバイスを受けて「は?(そうですね!)」と返すしかできなかったことを今でも覚えている。
リニューアルしたての綺麗なホテルだったため、散らかすタイプのプレイにはスタッフ全員が腹を立てていた。汚いホテルだったら良いわけでもないしスカトロプレイ等も否定するつもりもないが、とにかくマナーを守って遊ぼうぜ。
③うんこⅡ
最終的には、うんこを素足で踏んだ。
最悪。最悪の思い出。
④美食探偵
AVの世界の話で本当にやる人間がいるとは思わなかった食ザー。
ホテル自慢(冷凍)のカレーに""トッピング""がかかっていた。
ちなみに2,3口しか食べられていなかった。完食してたらしてたで狂気だわな。
⑤ジャンプ
働き出して半年ほど経った頃、リーダー的な存在だったスタッフ2人が働きすぎたのかノイローゼと鬱で飛んだ。
僕より古株は数人残っていたが、今にも死にそうなおじいちゃんと、仕事が遅い&出来ないおじさんしかいなかったので、事実上のリーダーになってしまった。
が、学業就活優先で無理ない範囲のシフトだったこともあり難なく卒業まで続けられた。
とにかくこの業界は雇用流動性が高い。どこどこのホテルで働いてましたみたいな人間がちょくちょく入ってくるが色んな理由から速攻で飛ぶ。当然僕みたいな給料の良さに釣られた未経験者も入ってはくるが耐性がなくて続かない、とかね。
リーダーになった僕といえば、任される仕事も当然多くなった。
アメニティの発注管理やら、「キーパー」と呼ばれる清掃部屋の最終チェック者(かっこいい)になるなどなど。就職活動時にこの話はだいぶ役立ったので大変感謝している。日系金融機関の面接ではことごとく満点大スベりしたけど。
番外編:ニックネーム
よく(常連)客にあだ名をつけるやつ、ラブホでも勿論ある。
ヘルス嬢と一緒に食うのか知らんけど毎回三越で買ったお惣菜のゴミを残していく「三越さん」、X JAPANのToshiに激似のサングラスをかけた謎めいた常連おばさん「トシ」、アメニティを根こそぎ持って帰る客「コジキ」など。
常連は基本綺麗に遊んで帰るので好きでした。夜忙しいときなんかも「(常連の)○○さん早く来て宿泊で入ってくれ~」と皆で願いながら仕事していた。(休憩は2,3時間で回転するが宿泊だと翌朝までその部屋を清掃する必要がなくなるため)
以上、まだまだ腐るほどあるけどキリがないのでまた別のタイミングで投下します。
色々書いてきたが、なんだかんだいって刺激のある毎日で楽しかった。副業でできるのなら間違いなく今も働いてる。色んな人間のスッキリ顔や事後部屋を眺めるのは、オモロい。
最後に、染谷将太さん主演の『さよなら歌舞伎町』はラブホ従業員あるあるが満載の映画なのでオススメです。時間があったら観てみてください。
ご精読ありがとうございました。